2012年04月24日

来年(2013年)いっぱいでアナログ映像出力が完全禁止される件

上の記事のような「アナログ映像出力禁止・終了」の話はたまに目にしてたんだけど、ちゃんと追っかけてなかったので細かいところは全然知らずに2012年になってしまった。もうそろそろ「先」の話でもなくなってきたので、ちょっとまとめて整理しておきたい。

そもそも「(BD機器の)アナログ出力禁止」とは何なのか

Blu-ray Discには「AACS」という著作権保護技術が使われている。この技術を策定したのは家電やコンピュータメーカー、ハリウッド系のコンテンツ企業が集まって設立した「AACS LA」という団体なのだが、このAACS LAによってAACSを扱う機器(≒BDレコーダー/プレイヤー・BDドライブ搭載機器)は「アナログ出力の機能制限ルール」が決められてしまっている。

簡単に言えば「アナログ出力からBDがコピーされるから、さっさと使えないようにしろ」というものだ。

ただこのルール、決める際にかなり家電メーカー側とコンテンツ企業側で揉めた様子。

有効なコピー防止技術を持たないD端子によるHDTV映像の出力に,最も厳しい見方を示したのが米Warner Bros. Studios社である。(中略)このWarner社の主張に対して,松下電器産業やソニーは強行に反対した。背景には,デジタル端子を持たなハイビジョン・テレビが広く普及してしまった日本市場の特殊性がある。ICT機能を義務づけると,今まで販売してきたハイビジョン・テレビを利用しても,次世代光ディスクによるコンテンツをHDTV表示できなくなってしまう。

「2014年以降はD端子への出力を全面禁止」,次世代光ディスクの著作権保護方式が固まる【訂正あり】 - 家電・PC - Tech-On!

より詳しくはリンク先の記事を読んで欲しいが、要するに家電メーカーは反対の立場だったが、コンテンツ供給側との交渉や譲歩の結果痛み分けでこんな形になったようだ。それでも叩かれるのは主に家電メーカーのようで、少しかわいそうではあるかもしれない。

アナログビデオ出力制限のスケジュール

具体的には以下のようなスケジュールがすでに決定され、実行されている。

発売時期アナログビデオ出力
2010年12月31日以前HDビデオ出力可
(販売は2011年12月31日まで)
2011年1月以降
〜2013年12月31日
480iに制限
2014年1月以降アナログビデオ出力禁止

そう、実はもう規制は去年(2011年)から始まっていて、すでに現行モデルではD端子からハイビジョン(HD)映像は出力できなくなっている。そして現在かろうじて許されている480i(D1)での出力すら禁止され、アナログ映像端子から一切の信号が出力できなくなるのが2014年というわけだ。

そして今まではもっぱらHD出力が可能なD端子(コンポーネント端子)が主なターゲットになっていたのだが、2014年からはコンポジット端子(お馴染みの黄白赤のアレ)やS端子も一切使えなくなってしまう。これが「アナログビデオ出力禁止」の正体と言える。

しかもご丁寧なことに、この「アナログ出力制限」がされていない製品は店頭などで販売を継続することもできなくなってしまう。当然メーカーは市場から(モデルチェンジという形だろうが)撤去するしかないわけで、中古を除けば「旧型モデルを買えばいいや」という方法すらもとることができない。

2011年以前に発売された製品は、これまで通りD端子やコンポーネントビデオからのHD映像出力を継続して利用できる。ただし、これらの機器を、2011年12月31日以降も継続販売する場合は、SDインターレース出力への制限が必須となるため、2012年以降はこうした製品を市場で入手するのは難しくなると予想される。

'11年発売のBD機器はアナログ出力をSD解像度に制限 -AV Watch

この「アナログ出力制限に対応した新モデル」は、恐らくアナログ端子自体が削られていてHDMIのみになっているだろう。使えないものを搭載しても無駄なコストにしかならないからだ。実際に今のBDレコーダーはD端子出力がすでになくなっているモデルがあり、具体例を出すならパナソニックの現行BDレコーダーはすでにD端子もS端子も存在しなくなっている。

これはミドルクラスの機器になるようだが、調べたところ上位モデルでもアナログ入出力はコンポジットしか存在しない。つまり現在進行形でアナログ端子全廃の動きは着々と進んでいると言えるだろう。

出力制限を受ける映像ソース

端的には「AACSを使用しているメディアからのソース」が制限対象になっている。具体的には市販のBDソフト、BD-R/RE、AVCRECで記録したDVD-R/RAMなどで、DVDビデオやデジタルテレビ放送、それをHDDに録画したものは(AACSを使用していないので)対象外となっている。

ただHDDに入っていても一回BD-R/REを利用してムーブバックしたものは制限されてしまうなど、わかりにくい点も多い。詳しくは引用した下の画像やリンク先を参照して欲しい。

アナログ出力規制の具体的な内容

アナログ入出力が全撤廃されるのはそう遠くないかもしれない

上の話を読んで「制限があるのはBD経由の出力だけなの?だったら他のソースとかTVは関係ないじゃん。何が問題なの?」と考える人も多いかも知れない。ところが事態はそう楽観できない。

前述のとおりにTV放送そのものには制限がないBDレコーダーや、同じく制限対象外のDVDも再生できるBDプレイヤーからもD端子そのものが消えていっている。ディスク再生時にHD出力ができない端子を残しておくと混乱の元になるという観点もあるのだろうが、実際はコスト削減が主な理由だろう。現在はBDレコーダーに限らずAV機器全般がどんどん値下がりしていて、ますます「中途半端にしか使えない」アナログ端子を残しておく余裕はなくなっているはずだ。

また同様に映像受信側、つまりTVのアナログ端子の減少・撤廃の流れもどんどん進んでいる。まあTVとレコーダーを作ってるのは基本的に同じ電機メーカーなわけで、それも当然と言えるかもしれない。

筆者が2011年から感じている1つの強い傾向について述べておきたい。それはズバリ,「AV機器のアナログビデオ入出力端子が全撤廃される方向に動いている」というものだ。

(中略)大手メーカー製テレビの最新モデルでは,Sビデオ入力はもちろん,「黄色い映像端子」として慣れ親しまれてきたコンポジットビデオ入力端子さえも,搭載されなくなる流れにある。また,高画質なアナログ入力端子として知られる「D端子」も撤廃の動きが強まっており,一部のメーカーからは,専用の入力アダプタ経由でしか入力できないテレビも出てきているほどだ。

そう,最近のテレビは「背面端子はHDMIだけ」という製品が増えているのである。

4Gamer.net ― 「ゲーム志向」を謳うスキャンコンバータ「FRAMEMEISTER」レビュー。充実の対応フォーマットはレトロゲーマーを救うか

個人的に嫌なのはこれで昔の機器が物理的に使えなくなってしまうこと。上で引用した4Gamerの記事で語られてるようにレトロなゲーム機はもちろん、PS2やWiiですらTVに接続する方法がなくなってしまう。もちろんかつて一時代を築いたVHSビデオデッキも同様で、デッキ自体がまだ動こうが思い出のテープが残っていようが完全に“終了のお知らせ”状態だろう。

古いAV機器というと大概は「動く/動かない」とか「消耗品がまだ残ってる/残ってない」あたりが問題になったが、今や「TVに繋ぐ方法がある/ない」という事態が目の前まで迫ってきているわけだ。

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2012年04月23日

実名を全力で晒しながらネットで放言を続ける人達

「ネットの匿名発言は無責任なものばかり。実名を公開して発言すれば、発言に責任感が生まれ質が向上し荒れることもなくなるはずだ」という耳にタコができるほど昔から繰り返されてきた言説がある。これは「責任感」という呼び方すると実態がよくわからなくなってしまうが、「リスク」と言い直せばわかりやすい。

要するに実名という個人情報を晒していれば発言が人間そのものに即座に紐付けされるため、オフラインの評判や評価に直結する。それにより“自分自身(の評判)を守る”というインセンティブが強く働くため、リスク回避のために自然と不用意なことをしなくなるはずだ、というのが「名前を晒せ」という意見の意図するところだろう。(もちろん「何かあった時に名前が書いてあれば追い込みやすいから」というのもあるだろうが。)

ところが実際はそう簡単な話になっていない。実名(あるいは職業上の名前)を出していようが、所属を晒していようが、居住地域や経歴すら公開したFacebookと連携していようが、デマや放言を広めることを何ら躊躇せず、平常運転のように平気で繰り返すアカウントがいくらでも観測できる。しかも指摘されて直すどころか良くて無視(Block)、悪ければ罵倒や工作員扱い。しまいには勝利宣言すら繰り出してしまう場合すらあって、これじゃ「匿名の放言と何が違うんだ」という話になってしまう。これは2011年の震災後ならTwitterあたりで誰にでも観測しやすくなったが、以前ならmixiで個人情報を垂れ流したまま暴言や犯罪自慢をするのがよく話題になった。

この「個人情報を晒してリスクを取れ」という意見、多分以下のような場合はまったく効果がないということだろう。

  1. (たとえ一般的に放言と判断されるレベルでも)自分の発言をリスクのある行為だと思っていない。あるいは多少思っていても実害が実質的に存在しない。
  2. 放言やデマを流した方が商売上都合がよい。つまりメリットがデメリットを上回る場合。
  3. 自分の行為は正しいことであり、文句を言ってる奴は馬鹿な低能や工作員なのだと考えている。いわゆる本来の意味での「確信犯」。
  4. 内輪のルールが外部のルールより優先されるクローズドな、あるいは特殊な状況。

またそれとは別の方向で「名前を出しているからこそ間違いを絶対に認め(られ)ない」と思われるような行動も、(上の理由に比べれば少ないが)観測できた。これは企業が不祥事を起こした時に、広報やプレスリリースなどで「我が社は悪くない。むしろ被害者」的なアピールを全力ですることがあるのと似ているかもしれない。企業の場合は訴訟対策もあるのだろうが、個人の場合は「引っ込みがつかない」とか「間違いを認めることで名前に傷がつくことが許せない」という理由の方が強そうな感じではある。

まあいずれにしても「リスクがあるからやらないはずだ」という理屈は「リスクかどうかわからない」とか「そもそも(名前を晒していようが)リスクがない」という人間や、あるいは「俺は真実に目覚めた正義の味方であり、反対する奴らは悪の手先である」と考えるタイプには通用しない。もちろんそれは以前からそうだったと思うが、昨今の「各種ソーシャルサービスで個人情報をバンバン公開しちゃおうZE!!」ブームでより一層明らかになったのかな、と下の記事を見ながらぼんやり思った。

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2012年04月17日

Twitterはなぜ「バカ発見器」になるのか

1. 投稿までのハードルが極端に低い

Twitterというサービスの基本は「今何をやっているかツイートしよう!そして思っていることを今すぐフォロワーのみんなに知らせよう!!」というものになっていて、発言のハードルをほぼ限界まで引き下げている。ブログのような記事タイトルの設定も投稿プレビューもなく、そもそも140字しか書き込めない。結果としてTwitter社が望むように多くの人が「脊髄反射的に行動や思考を垂れ流す」という使い方をしているので、当然発言のリスクについて考える時間や機会がほとんどなくなってしまう。

例えばブログだったら執筆中に「こんなこと書いて大丈夫かな」とか「プレビューでちょっと読み返したらここは書くべきじゃなかった」などと投稿前に気がつけたかもしれないのに、手軽さと引き替えにTwitterではそのようなチャンスがなくなっている。要するにリアルタイム性が上がるほど発言量と脇の甘さが増大しやすくなるため、不用意な発言をするリスクもそれに比例するような形で上昇していく。

2. すぐ流れて消える(見えなくなる)という安心感

Twitterはフォロー数と自分のツイート数が多ければ多いほど投稿がすぐに下に流れ、表示されなくなっていく。実際は見えにくくなるだけで消えてはいないし、探そうと思えば誰でも過去ログをたどっていけるが、そこを意識している利用者はかなり少ないようだ。なんせたった1週間前ぐらいの投稿でも“昔のツイート”扱いしているのが珍しくない。

この「どうせ消える」「前の発言なんて誰も読まない」という根拠に乏しい安心感により、さらにリスキーな発言をしてしまいがちになる。

3. 誰でも読めるのに「知り合いにしか見られていない」感がなぜか存在する

Twitterには細かい公開範囲の設定方法がなく、基本的に全公開か承認されたフォロワーだけが読めるプロテクトモードしかない。(Blockはできるがログアウトすれば普通に読めてしまう。)にも関わらずTwitterはなぜかSNS扱いされることも多く、サービス方針の「身近なことをどんどん書き込んでください」とセットになって、ネット中にだだ漏れなのに「知人や近い知り合い以外に読まれると危険なこと」でも平気で書いてしまう事例がよく見られる。

ただし、ここで注意しないといけないのは、Twitterは「見られてない感」はたしかにあるけれど、まるっきり見られていないわけではないということで、これがいろんな炎上とかのきっかけにもなっている最大の問題なんだろうな。

Twitterはリアルタイム検索もされるし、RSSまで出てるんだから、実際には「見られまくり」のはずだ。見られまくりにもかかわらず「見られてない感」がある。これはプライバシーコントロール上ではいちばんにタチが悪いかもしれない。

ひとはなぜフェイスブックで「いいひと」を演じてしまうのか問題 - night and sundial

構造的にはかつてよく話題になった「mixiの犯罪(武勇伝)自慢」とまったく同じなのだが、まがりなりにもそれなりの公開範囲設定ができるSNSではなく、全公開がデフォルトのサービスでやらかしてしまう点が異なっているとはいえる。

4. 抗いがたい「リアルタイムフィードバック」の快感

Twitterは投稿がリアルタイムならば、反応もリアルタイムになっている。投稿直後からフォロワーによってFavやRTなどの反応がおこなわれ、それは個別のツイートページやアプリ、Webサービスなどによって確認できる。

このような状態の中で常に冷静でいるのは、実は想像以上に難しい。多くの人がよりウケ狙いの、反応がよくて過激な発言をしてしまいがちだ。ましてや「3」のような「身内・親しい人か見ていない」という間違った先入観の中で行動していれば、なおさらそうなってしまう。

5. Twitterそのものが未だにブームの過程であること

TV・雑誌・新聞などのオフラインメディアでブームが伝えられれば、当然「ネットの基本的知識・ルール」もよくわかってない人間が続々参入してくる。上記の1〜4は基本的に「Twitter投稿のリスク判断を誤る」という話だったが、それ以前の「不特定多数が自由に閲覧できるネットに何を書いたら危険か」という根本的な部分すらあまりわかってないレベルの人が相当数増えたはずだ。

おまけに利用者という母数増えれば問題を起こす人間も自然と増えるわけで、致命的なことをやらかす人間の発生率がそう変わらないとしても、実感として「アホなことやらかすバカが急増中!」という風に見えてしまう。

6. ワンクリックでいくらでも発言が拡散していくRTの存在

恐らく今のTwitterではこの影響が一番大きい。なにせどのツイートでも1クリックでフォロワーに拡散できるので、たまたまフォロワー数が多いアカウントに発見されれてしまえば、本人のフォロワー数など全然関係がない形でツイートは広まっていく。慌てて消そうが非公式RTされた時点で管理の手は及ばなくなるし、そもそもその手の“話題になる”投稿ならとっくにコピーや転載が出回ってるだろう。発見された「面白い」ツイートはクラスタどころかサービスの垣根さえ越え、ネット中で話題なってしまう。

実はこの「RTの発明」が起こるまで、Twitterはリアルタイム性こそ高かったが情報の流動性はそこまで高くなかった。投稿可能文字数が少ないので「引用 + URL」というWebの定番の方法をとるのが難しく、またフォローしない限り無関係なアカウントのツイートを見る機会そのものが少なかったので、自分フォローの範囲外では何が起こってるのか、かなりわかりづらかったのだ。

ところが最初は非公式、そして公式RTが発明・実装されたため、情報の流動性が飛躍的に高まることになった。結果として(自分にとって)広がってほしくないような発言も、あまりにもあっさり垣根を越えて広まってしまうようになっている。

結論

近年のTwitterは「失言しやすい構造上の問題」+「利用者の急増」+「RTによって短時間でツイートが爆発的に広まっていく」というコンボで、“炎上するような発言”や“頭の悪い放言”をするアカウントが極めて観測しやすい状態になっている。正確には「バカ発見器」というより「失言高速拡散器」あたりが実態に近いと思うが、その辺は呼び方の問題だろう。いずれにしても「お手軽・簡単に発言できる」は「お手軽・簡単に失言できる」ということだし、「情報がリアルタイムで一気に拡散していく」は「炎上ネタもリアルタイムで一気に拡散していく」になってしまうわけだ。

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