2008年12月21日

「失敗して当たり前」な有料Webサービスの条件

最近話題になってる「広告で成り立ってる無料Webサービスの時代はもう終わりじゃね?」関係の話。

個人的に考えている「有料Webサービスが上手くいかない理由」は大きく分けて二つ。

一つは「少額決済環境の不備」。これはすでに他の人が言及しているエントリがあるので、ここでは触れない。リンクだけ張っておく。

もう一つの理由はWeb特有の「囲い込みの難しさ」。

伝統的なメディアと違い、Webサービスへの参入障壁は極めて低い。少額でサーバをレンタルすれば個人でも簡単に始められるし、実際にそんなサービスは山のようにある。当然企業でも参入障壁は低い。例え「月額○○円」という価格でサービスを始めても、似たようなサービスが「無料」で運営されているなら、支払いの面倒さも相まって有料サービスを選ぶ理由はたちどころに無くなってしまう。*1

ライバルが多い、比較も簡単、移動も自由では「他と同じようなサービス」をやって客を引き留めていられると無邪気に考えられる方がおかしい。普通の商品ならまだ差別化できなくても「価格競争」が勝負ができるが、現状ではGoogleを始め大手が「無料サービス」をおこなっているため、「有料」にした時点ですでに勝負にならない状態になっている。

これを避けるには、以下の条件のどちらかをクリアするしかない。

  1. 他の無料サービスでは代替え不可能な独自性を保つ
  2. そう簡単に他のサービスに移動できないようにする

裏を返してタイトルの「失敗する有料Webサービスの条件」にするならば以下のようになる。

  1. 他の(無料)サービスで簡単に代替えできてしまう独自性の無さ
  2. サービスの移動を躊躇させる要素が無い/少ない

失敗する有料Webサービスに足りないもの

1.の例は「オンラインゲーム」などがわかりやすい。例えばFF11をプレイにするにはそれに金を払うしかなく、他のサービスでFF11がプレイできるという状態は起こりえない。*2これはオリジナリティが高く、他が真似しようと思っても簡単にできないほど良い。実際にオンラインゲームは、Webサービスの中でも「有料が前提」のサービスとして認識されている。*3

しかし同じゲームでも、リバーシ(オセロ)や将棋などの「代替えがいくらでも効くゲーム」では意味がない。「ここでしかできない何か」があるからこそ、客はそのサービスに金を落とす。要するに「(例として)Google・Yahoo!が無料で提供してない/できないもの」を用意すればいい、ということになる。

2.はサービス自体は代替え可能だが、コンテンツ(中身)が代替えできないタイプ。端的な例としては「人間関係」や「コミュニティ」が挙げられる。ある個人がサービスを乗り換えるのはそんなに難しくはないが、参加しているコミュニティや人脈そのものを丸ごと移動させるのは容易なことではない。

言い方は悪くなるが、これは「コンテンツを人質にして場所代を徴収する」とでも言い換えればいいかもしれない。例えば人間関係自体がコンテンツである場合、まったく同じサービスがあっても「コミュニケーションをとりたい人」がそのサービスにいなければ意味がない。代替えできない内部コンテンツは、そのサービス自体に大きな付加価値を生み出す。

しかし、これがただのテキストデータなどである場合、(移転の面倒さはあるが)外部に持ち出すのはそんなに難しくはないし、ログを諦めればあっさりサービスを変えることができる。サービスとコンテンツはなるべく強く結びついている方が好ましく、メリットを受け続けるためには「そのサービスでなければならない」のが一番望ましい。

単純にコピーできて流用できてしまうようなデジタルデータは、恐らくこのような「縛りのあるコンテンツ」にはあまり向かないのではないかと思う。

土下座商法は恐らく有効な手段ではない

カフェスタがやっているような"お願いします"と頼む「土下座商法」は、あまり有効な手段ではないと思う。「そのサービス特有のメリット」が存在しなければ、利用者は他のサービスに移動すれば済んでしまう。「アバター」なんてすでに珍しくも何ともない。

本当に収益性を高めたいなら、前述の通り客が「金を落とさざるを得ない」状況を作り出すしかない。恐らくそれは「どれだけ独自性を打ち出せるか」と「客の囲い込みに成功するか」にかかっているはず。Webは元々オープンで自由度も極めて高いため、同業者が無限に湧いてきてしまう。さらに無料が相場のサービスでは、価格競争すら元々不可能な状態といえる。まず有料サービスを使わせるための動機を生み出すことから考えないと、有料化したサービスも「跡地」が残るだけで終わってしまうだろう。

*1:有料サービスにも形態がいくつかあるけど、話が煩雑になるので今回は触れない。

*2:一部のゲームではエミュサーバなんてもあるにはあるが。

*3:基本料金が無料なものも多いが、結局はアイテム課金などできちんと金を回収している。

posted by RPM at 02:50 | TrackBack(0) | BackLink | Internet・Webサービス | 更新情報をチェックする

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