2009年06月19日

ガツンな釣り職人の朝は早い

「まぁ好きで始めた釣りですから」
最近はネットイナゴが多いと口をこぼした。

まず、朝の大漁祈願から始まる。
「やっぱり一番嬉しいのは大量に釣れたときね、(自称)アルファブロガーをやっててよかったなと」
「でもね、毎日毎日身に覚えがないネガコメも受ける。素人にはお勧めできない」

今日ははてなの副社長が来る日。彼は時計を見ながら雨の中を尋ねてきた副社長を応接間に通した。
話の中身は特に決まっておらず、副社長の質問に答えるような形で話は進む。
自分もそうだけど成功者は忙しくてみんなの都合を合わせるのが辛いところ、と彼は語る。
「やっぱ人気者はキツイね、愚痴ってもしかたないんだけどさ(笑)」
「でも自分で会いに来いって誘った人だからね。後悔はしてないよ」

食事をしながら一緒にブコメを見たところで、もう10年来の付き合いのようにすら思えてくる。
「このユーザはダメだ。ほら、すぐにうすらバカになってしまう」
彼の目にかかれば、はてブを見るだけで人間の出来不出来が分かってしまう。
はてな使い倒しブロガー、ここにあり。

今、一番の問題はネタ切れであるという。
自分の記事の反応に満足できないと、その日の釣りをやめてしまうという。
かつては少しの釣りタイトルとハッタリとTipsで大量に釣れたブクマだが、今では個人情報を公開したり門外漢のネタを無理矢理ライフハックに仕立て上げないと反応が少ないという。
キモは構成力。大量に現れるネガコメに押し切られることなく、冗長で、大げさで、実態がなくてもありがたみが増すような記事を書けるようになるのには何年もかかる、と匠は語る。
反応からより釣れそうなネタがあるなら手間を惜しまず食いつく。
この時のタイミングでブコメの空気はガラリと変わってしまう。
ここはいつも気が抜けないね、と汗をぬぐいながらいった。

そこで最近編み出されたのが「ガツン」と言ってやるメソッド。
この「ガツン」の一つ一つが読者の神経を刺激し、ホッテントリへと誘ってくれる。
さらに自分と同じような成功者を呼び寄せる効果まである、と語る。

今のところ「ガツン」を有効活用している職人はほとんどおらず、日本ではほぼ自分だけだという。
「冗談ではなく近いうちに死人が出るぞ、そうなってからでは遅い」
「死んだり殺したりすると取り返しがつかないぞ、当然はてなもだ」
「要するにニーチェの『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』というやつだ。(笑)」
と満足げ。
何を言っているのか素人の我々にはまったく理解できなかったが、彼は「言えるのはここまで」と死人が出る具体的な理由等には一切触れなかった。ただ、匠の「ガツンと言ってやった」という自信のみは文句なしに伝わってくる。

最近「ガツン」を誰かに伝授したことがあるのですか?という問いに、彼はにこやかに笑いながら二つほど例を挙げてくれた。

ひとりはとあるベンチャーのCOO(代表取締役)で、「労働者の権利ばかり主張して全く義務を果たさない奴」をひねり潰す方法として教えたという。
「『社内の効率化に劇的な効果があった』『自分や会社の知名度が飛躍的に上がったのも見逃せない』と大喜びしてたね」
「法律や権利なんて『ガツンとひねり潰せば大したことじゃない』ってことが知れ渡ったのが嬉しい」
「その後の噂じゃどっかのヒゲのサスペンダーにガツンとやられ返されたとか風の噂に聞いたけど、よそのは亜流だよ。ウチとは関係ないから」
と楽しそうに語る。

もうひとりはあるアルファギークで、前々から許せない言動が続いていた奴にガツンと言ってやったという。
「『以前からオープンソースでないものをオープンソースと勝手に定義して語る残念なハイブロウ好きがいて困ってる』と言ってたね」
「『すべてのWeb上の反応を読んでいた』と言ってたわりに『別の人からも何度も同じような指摘をされてもそれが直らなかった』とか何とか」
「『よく知らない範囲なのに勝手に語って"根付いてない"とか"土壌がない"とか印象論で決めつけられたうえ、変な誤解が広まるのが我慢ならない』と熱く語ってたのが忘れられないよ」
「その後は話題をずらされて『恣意的』とか『ルール違反』とか言われてぐだぐだになって、ガツンと言った意味があったのかなかったのか良くわからなかったけど」
と少し残念そうな表情も浮かべる匠。

最後に今後の活動予定について聞くと、力強く次のように語る。
「『ガツン』の有効性はこれ以上ないほど実証されたね。はてなの副社長とドワンゴの会長を呼び寄せたぐらいだから」
「この調子なら近いうちに『ガツン』の一言でオバマ辺りも釣れるんじゃないかな」
「もう『会いに行く』とか受け身な表現はやめて、『とにかく俺に会いに来い』辺りの方がいいかと思ってるね。どうせ会っても話した中身は書かなくてもいいし。(笑)」
遠い目をしながらも確信満ちた静かな語りが、「釣り」への情熱と求道心を隠しきれずに我々へと伝える。

職人とは、道と夢を追い続ける者であるという。
彼は、自らの夢を追い続ける……。

そして今日も彼は、日が昇るよりも早く大漁を祈願しつつネタの練り込みを始めた。
明日も、明後日もその姿は変わらないだろう。

そう、ガツンな釣り職人の朝は早い───

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