2012年04月17日

Twitterはなぜ「バカ発見器」になるのか

1. 投稿までのハードルが極端に低い

Twitterというサービスの基本は「今何をやっているかツイートしよう!そして思っていることを今すぐフォロワーのみんなに知らせよう!!」というものになっていて、発言のハードルをほぼ限界まで引き下げている。ブログのような記事タイトルの設定も投稿プレビューもなく、そもそも140字しか書き込めない。結果としてTwitter社が望むように多くの人が「脊髄反射的に行動や思考を垂れ流す」という使い方をしているので、当然発言のリスクについて考える時間や機会がほとんどなくなってしまう。

例えばブログだったら執筆中に「こんなこと書いて大丈夫かな」とか「プレビューでちょっと読み返したらここは書くべきじゃなかった」などと投稿前に気がつけたかもしれないのに、手軽さと引き替えにTwitterではそのようなチャンスがなくなっている。要するにリアルタイム性が上がるほど発言量と脇の甘さが増大しやすくなるため、不用意な発言をするリスクもそれに比例するような形で上昇していく。

2. すぐ流れて消える(見えなくなる)という安心感

Twitterはフォロー数と自分のツイート数が多ければ多いほど投稿がすぐに下に流れ、表示されなくなっていく。実際は見えにくくなるだけで消えてはいないし、探そうと思えば誰でも過去ログをたどっていけるが、そこを意識している利用者はかなり少ないようだ。なんせたった1週間前ぐらいの投稿でも“昔のツイート”扱いしているのが珍しくない。

この「どうせ消える」「前の発言なんて誰も読まない」という根拠に乏しい安心感により、さらにリスキーな発言をしてしまいがちになる。

3. 誰でも読めるのに「知り合いにしか見られていない」感がなぜか存在する

Twitterには細かい公開範囲の設定方法がなく、基本的に全公開か承認されたフォロワーだけが読めるプロテクトモードしかない。(Blockはできるがログアウトすれば普通に読めてしまう。)にも関わらずTwitterはなぜかSNS扱いされることも多く、サービス方針の「身近なことをどんどん書き込んでください」とセットになって、ネット中にだだ漏れなのに「知人や近い知り合い以外に読まれると危険なこと」でも平気で書いてしまう事例がよく見られる。

ただし、ここで注意しないといけないのは、Twitterは「見られてない感」はたしかにあるけれど、まるっきり見られていないわけではないということで、これがいろんな炎上とかのきっかけにもなっている最大の問題なんだろうな。

Twitterはリアルタイム検索もされるし、RSSまで出てるんだから、実際には「見られまくり」のはずだ。見られまくりにもかかわらず「見られてない感」がある。これはプライバシーコントロール上ではいちばんにタチが悪いかもしれない。

ひとはなぜフェイスブックで「いいひと」を演じてしまうのか問題 - night and sundial

構造的にはかつてよく話題になった「mixiの犯罪(武勇伝)自慢」とまったく同じなのだが、まがりなりにもそれなりの公開範囲設定ができるSNSではなく、全公開がデフォルトのサービスでやらかしてしまう点が異なっているとはいえる。

4. 抗いがたい「リアルタイムフィードバック」の快感

Twitterは投稿がリアルタイムならば、反応もリアルタイムになっている。投稿直後からフォロワーによってFavやRTなどの反応がおこなわれ、それは個別のツイートページやアプリ、Webサービスなどによって確認できる。

このような状態の中で常に冷静でいるのは、実は想像以上に難しい。多くの人がよりウケ狙いの、反応がよくて過激な発言をしてしまいがちだ。ましてや「3」のような「身内・親しい人か見ていない」という間違った先入観の中で行動していれば、なおさらそうなってしまう。

5. Twitterそのものが未だにブームの過程であること

TV・雑誌・新聞などのオフラインメディアでブームが伝えられれば、当然「ネットの基本的知識・ルール」もよくわかってない人間が続々参入してくる。上記の1〜4は基本的に「Twitter投稿のリスク判断を誤る」という話だったが、それ以前の「不特定多数が自由に閲覧できるネットに何を書いたら危険か」という根本的な部分すらあまりわかってないレベルの人が相当数増えたはずだ。

おまけに利用者という母数増えれば問題を起こす人間も自然と増えるわけで、致命的なことをやらかす人間の発生率がそう変わらないとしても、実感として「アホなことやらかすバカが急増中!」という風に見えてしまう。

6. ワンクリックでいくらでも発言が拡散していくRTの存在

恐らく今のTwitterではこの影響が一番大きい。なにせどのツイートでも1クリックでフォロワーに拡散できるので、たまたまフォロワー数が多いアカウントに発見されれてしまえば、本人のフォロワー数など全然関係がない形でツイートは広まっていく。慌てて消そうが非公式RTされた時点で管理の手は及ばなくなるし、そもそもその手の“話題になる”投稿ならとっくにコピーや転載が出回ってるだろう。発見された「面白い」ツイートはクラスタどころかサービスの垣根さえ越え、ネット中で話題なってしまう。

実はこの「RTの発明」が起こるまで、Twitterはリアルタイム性こそ高かったが情報の流動性はそこまで高くなかった。投稿可能文字数が少ないので「引用 + URL」というWebの定番の方法をとるのが難しく、またフォローしない限り無関係なアカウントのツイートを見る機会そのものが少なかったので、自分フォローの範囲外では何が起こってるのか、かなりわかりづらかったのだ。

ところが最初は非公式、そして公式RTが発明・実装されたため、情報の流動性が飛躍的に高まることになった。結果として(自分にとって)広がってほしくないような発言も、あまりにもあっさり垣根を越えて広まってしまうようになっている。

結論

近年のTwitterは「失言しやすい構造上の問題」+「利用者の急増」+「RTによって短時間でツイートが爆発的に広まっていく」というコンボで、“炎上するような発言”や“頭の悪い放言”をするアカウントが極めて観測しやすい状態になっている。正確には「バカ発見器」というより「失言高速拡散器」あたりが実態に近いと思うが、その辺は呼び方の問題だろう。いずれにしても「お手軽・簡単に発言できる」は「お手軽・簡単に失言できる」ということだし、「情報がリアルタイムで一気に拡散していく」は「炎上ネタもリアルタイムで一気に拡散していく」になってしまうわけだ。

posted by RPM at 11:00 | TrackBack(1) | BackLink | Internet・Webサービス | 更新情報をチェックする

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  • Excerpt: ■Twitterはなぜ「バカ発見器」になるのか  >正確には「バカ発見器」というより「失言高速拡散器」  この部分しっくりきてしまった。  デマでも何でも拡散が速すぎる事がTwitterのメ..
  • Weblog: まこweb | Tracked: 2012-04-19 22:10
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