2012年12月08日

セインツロウ ザ・サードの廉価版に関するゴタゴタの件

先日、PS3/XBOX 360用ソフト「セインツロウ ザ・サード:フルパッケージ」が発売された。これはセインツロウ ザ・サードとそのDLCのほぼすべてが入った廉価版で、定価で4200円弱、値引き後なら3000円台と、去年のゲームではあるが「全部入り」としてはかなりお得なパッケージになっている。特に新規にセインツロウ ザ・サードを始めたい人なら、文句なくお勧めできる商品だろう。

セインツロウ ザ・サード:フルパッケージセインツロウ ザ・サード:フルパッケージ (PS3版)
セインツロウ ザ・サード:フルパッケージセインツロウ ザ・サード:フルパッケージ (XBOX360版)

ただこの「セインツロウ ザ・サード」、廉価版の発売に関して少々揉め事が起こっていた。実は今年の9月にはDLCを含まない「ゲームのみ」の廉価版が発売されていて、その発売から1カ月も経たないうちにこの「全部入り」廉価版が発表されてしまったのだ。

値段はほぼ変わらないのにDLCてんこ盛りの「完全版」をすぐ発表されたとあっては、廉価版を素直に買ったユーザは当然激怒。Amazonのレビューなんかはえらいことになってしまった。

スクエニはもうゲーム業界から消えて欲しいくらいです。
初めてですよこんなことを思ったのは

Amazon.co.jp: セインツロウ ザ・サード(廉価版)【CEROレーティング「Z」】の にっくさんのレビュー

この件では(DLCなしの)廉価版の発売元になったスクウェア・エニックスが叩かれまくっているのだが、実際のところ彼らが悪いのかはよくわからない。なぜならフルパッケージの方の発売元は「スパイク・チュンソフト」に変わっていて、一般的に言う「完全版商法」とは趣が異なるからだ。

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もちろん客としてはメーカー叩きに走ってしまうのもわかるのだが、これには○○が悪い!と簡単に断罪できない微妙な理由がある。

みんな金がないのが悪いんや……

このような混乱の原因を理解するためには、まずセインツロウの大本の発売元が「THQ」であることを押さえておく必要がある。これはアメリカはもちろんのこと、日本でも初代「1」から通常版「3」まではTHQの日本法人「THQジャパン」がソフトを発売していた。(THQが日本でゲームを発売するときには外部のパブリッシャを使うのは珍しくなかったが、看板タイトルであるセインツロウは一貫してTHQジャパンが販売していた。)もし廉価版が引き続きTHQジャパンから発売されていれば、恐らくこんな事態になっていなかったのではなかろうか。

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ではなぜ廉価版になって急にスクウェア・エニックスから発売される運びになったかといえば、THQジャパン(のオフィス)そのものが、THQアメリカ本社の業績不振の煽りを受けて閉鎖されてしまったから。これによってTHQジャパンは他社にライセンスを提供するだけになり、実際にソフトを発売するのは別の会社になってしまった。(ちなみにソフトはヒットしていたのになぜ経営が苦しくなったのかはここに詳しい。)

で、その「セインツロウ ザ・サード」の日本での販売権を引き受けたのがスクウェア・エニックスで、それをそのまま定価を引き下げ再発売したのが廉価版(XBOX 360版はプラチナコレクション)の正体だろうと思われる。

その後のセインツロウ ザ・サードのライセンスの動きはよくわからないのだが、「フルパッケージ」の方はスパイク・チュンソフトからの発売となった。可能性としては前出の怒った人のAmazonレビューに書かれているように、スクウェア・エニックスが廉価版を発売してすぐ販売権を手放してしまったのかもしれないし、あるいは最初から無印版とフルパッケージ版はライセンスが別だったのかもしれない。

ただいずれにしても、そもそも発売された会社が違うところから考えて一貫した販売計画があったとはとても思えない。逆にスクエニは(発売後すぐ完全版が発表されたのだから)単なる被害者だ、と見ることもできるだろう。(もちろんだからといってスパイク・チュンソフトが加害者、という話でもないのだが。)

権利のゴタゴタにゲームが巻き込まれるのを見るのは悲しい

セインツロウ ザ・サード自体はかなり良くできたゲームだと思う。メインシナリオが若干ボリューム不足という点を除けば、大真面目に作られたバカバカしい世界観、美しいグラフィック、ギャグとメタとパロディとケレン味が合わさった何とも言えないシナリオ展開などなど見所は多い。オープンワールド・クライムゲームとして近年のシリアス志向なGTAと違う道を選びながら、さすが二番手に一番近いと言われるだけのことはある作品だろう。

ただそういった良作ゲームが、ゲーム自体の出来ではなくライセンスや販売方法のゴタゴタで無駄に評判を落としてしまうのは何とも悲しい。そもそも日本でのセールスは広告費をロクにかけなかったわりに好調だったらしく、そんな状態で撤退を余儀なくされたTHQジャパンが一番無念だったのは間違いない。実は自分も「無印廉価版」を買ったクチなのだが、この「別会社からの早すぎる完全廉価版の発売発表」を聞いて思ったのは、損した云々の前に「うわー、ライセンス関係ゴタゴタしてるんだなー」とといったことだった。

もちろん大本のTHQ自体は(業績は相変わらず厳しいらしいが)潰れていないし、セインツロウの続編もすでに開発が進められているらしい。そういう意味では悪いニュースばかりではないのだから、できれば経営が安定して日本に再上陸していただきたいところ。例えそこまでいかなくても、最低限安定したライセンス契約を結んでもらって、今回のような商品を買った客が怒り出すような事態は避けて欲しい……というのが一セインツロウシリーズファンとしての願いではある。

 

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